アラサー女子、もがき記録

彼氏なし、貯金なし、余裕もなしのアラサー女子が人生を豊かにするためにもがき続ける記録

ただのダークミステリーでは物足りない女子へ!【アリス殺し】

女子の皆さん、こんばんは。ぴよこよ。

最近やっと衣替えをしたわ。皆さんはもう終わった?

私は昨日やっと終わったわ。これでいつでも夏を迎えられるわよ!

 

さて今日ご紹介するのはミステリー小説よ。

昨日ご紹介した人情派時代小説とは打って変わって、物語の最初から最後まで終始不気味な雰囲気の漂う小説なの。

最近どの書店屋さんでもよく見かけるから、気になっている人もいるのではないかしら?

 

 

∴アリス殺し

著:小林泰三

 

シリーズ化もされているこの作品、他には「クララ殺し」と「ドロシィ殺し」という作品もあるわ。

この「アリス殺し」は最近文庫本化されたから、書店にたくさん並んでいるわね。

 

主人公の亜理は理系の大学院生。ここ最近はずっと同じ夢を見ている。

その夢というのが、自分が不思議の国の住人・アリスとなって、不思議の国の住人と過ごしている、という夢。

ある日その夢の中で事件が起きる。ハンプティ・ダンプティが塀の上から突き落とされて殺されてしまうの。

そしてその容疑者はなんとアリス。

目が覚めた亜理が大学へ行くと、”玉子”というあだ名の男子学生が校舎の屋上から転落死をしているの。

不思議の国の住人の死と、現実世界の人間の死はリンクしている。

同じく不思議の国の夢を見る同級生の井森くん(不思議の国ではトカゲのビル)と一緒に、次々と起こる不思議の国での殺人事件と現実世界で起こる不審死の謎に迫っていく。

これがこの「アリス殺し」のあらすじよ。一見するとただのミステリー小説なのだけど、これを単なるミステリーと一言で表すのは難しいわ。

この「アリス殺し」を3点に渡って説明していくわね。

 

①独特の世界観

このお話は「不思議の国のアリス」をモチーフにしているということから、登場人物のキャラや性格、話し方までおとぎ話の世界観を上手に組み込んでいるわ。

例えば登場人物同士の会話でも、小さな子どものようにあっちこっちに話が脱線したり、どうとでもないことに「なぜ?」と突っ込んでは話の腰を折る。

話がなかなか進まなくて最初はイライラするんだけど、これが”不思議の国だから”と考えるとなんとなく納得してしまうの。

それからその場の情景描写も面白いわ。さすがは不思議の国、という感じ。

 

「(中略)やがては池か小さな湖のようになり、どこから這い上がってきたのか、魚が泳ぎまわり、それを目当てに水鳥が立ち、彼らが運んできた種が根付いて、一面の水草だらけになっており、アリスはその水草を掻き分けながら、クッキーを探さなければならなかった。」(p.192)

 

これテーブルの上の描写よ。零れたお茶がやがて生き物が住む池か湖になっているの。

普通なら「草の中から探し出したクッキーを食べるの!?」と思うんだけれど、不思議の国なら「あ~あり得るかも。」と納得してしまう。

それほどまでに、この不思議に国の世界観を上手く取り込んでいるのよね。

ファンタジー小説と言っても遜色ないわ。

 

②アーヴァタール現象

アーヴァタールとは、インド神話における神の化身。実体は神様なのだけれど、一時的に自分の化身をこの世に送り込んでいる。その化身がアーヴァタールよ。

このお話は「不思議の国の自分は現実世界の自分のアーヴァタール」、つまりネットの世界でいう”アバター”のようなものだと仮説を立てて進めていくわ。

亜理や井森くん以外にも、不思議の国に自分のアーヴァタールがいてる現実世界の人間が大勢いるの。

「あの人が不思議に国ではあの人なの!?」とか「この不思議の国の住人は誰のアーヴァタールかしら?」と考えながら読み進めるのも面白いわ。

 

ちなみに私の好きなアーヴァタールはトカゲのビルね。現実世界では井森くん。

ビルはドジで間抜けで忘れっぽいんだけど、アリスのことをとても大切な仲間だと思っているわ。

最初はそのおバカ具合にイライラするんだけど、それが段々と可愛く思えてくるから不思議。

きっと不思議の国の魅力に魅了されてしまったからなのね。

 

③凄惨な殺し方

「アリス殺し」とタイトルでもある通り、ミステリー作品なのだから出てくる登場人物の中には殺されてしまう人もいる。

ただその殺され方が話が進むにつれてどんどん酷いものになっていく。

どういう思考回路をしていたらこういう死に方が思いつくのかしら、と思ってしまうほどよ。

(非難しているのではなく、作者の表現力・想像力をほめたたえているの!)

ある人の死ではとてもじゃないけれど平常心では読み進められなかったわ。

あと、最後に死んだ人だけど、殺され方がとても可哀そうで…。

これが私が”ただのダークミステリーでは物足りない女子へ”とタイトルにした理由よ。

ただのミステリーではない。ただのファンタジーでもない。

人の死に方、そして真犯人の動機など、とてもダークな面も描かれている。

言うなれば”ダークミステリーファンタジー”ね。(そのまま)

まだ読んでない人がいれば、グロテスクな表現も出てくるから苦手な人は注意した方がいいわ。

 

 

このお話の感想を一言でいうと”消化不全”という感じかしら。
お話自体は面白いのだけれど、タイトルから想像できる通り、ルイス・キャロル作の「不思議の国のアリス」がモチーフとなっているわ。
だから原作中のセリフや登場人物間の関係がお話にも度々登場してくるの。
私は原作の「不思議の国のアリス」を読んだことがないから、「アリス殺し」を読んでいても途中で頭に?が浮かぶことが多かったのよね。
なので”消化不全”ね。「不思議の国のアリス」を読めばまた違った感じ方があったのだと思うわ。
ただお話自体は独特の雰囲気と、個性的なキャラクターが大勢いるのも相まって、読み応えのある作品よ。

今度は「不思議の国のアリス」を読んでみようかしら。

 

 

ここまで読んで下さってありがとう。

それでは女子の皆さん、ごきげんよう。